走馬灯

わたしの人生のさいごにみる走馬灯

like a 海底東京ナイト

音楽に詳しくはないけど、基本なんでも聴く。

青春キラキラ系も、しっぽり系も、洋楽もロックも!

けれどわたしはひねくれ者だから、明日も笑えるとか、上を向いて歩こうだとか、君が好きだとか。

そんな" 非現実的 "な歌詞には勝手に腹を立てて拗ねてしまう。

 

「どうせさいごはひとりぼっちなんだから‼️さいごは自分で立ち上がらなきゃいけないんだから‼️」

 

実に子供じみていて、恥ずかしい思考だとは思う。けれどわたしは勝手に音楽に期待して、勝手に裏切られた気に、いつもなっていた。

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いつもとは違う音楽に出会ったのは去年の秋のこと。

人混みが苦手であまりノリ気にはなれなかったライブハウスに友人が、おすすめのアーティストがライブするからと幡ヶ谷までついて行った日。

 

友人がわたしに聴かせたかった曲を演奏していたのはあまり年の違わない女の子2人組だった。

ギターとキーボードのメロディー

水中のようにこもって響く歌声。

ひどく、感動した。つむじからじんわりとあったまっていくのを感じた。

ワンルームしかないライブハウスはまるで小さな水槽のように緩やかで、優しかった。

 

人混みが慣れないわたしはその女の子たちの演奏が終わった後ライブハウスを抜け出して、幡ヶ谷の夜の街に飛び込んだ。

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ゴボゴボ…

東京の夜の街は海の底に似ている。

冷たくて、寂しくて、苦しい。

遠くのビルの光はぼんやりと海底を照らす光のようで、止めどなく行き交う車や人々は魚みたいだな。

暖かい水槽の中で育ったわたしは広い海じゃ上手く泳げない。

 

その後家に帰ってもその曲を繰り返し聴いた。

わたし自身が上手く言葉に出来ずに、喉につかえたままにしていた漠然な気持ちを、素直に教えてくれているようだった。

 

誰もが自分のことで精一杯で、自分にしか興味が無い濁った街の中で、漂っているだけだったわたしに、その曲は、歌詞は優しかったな。

 

いつもありがとう。

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iVyより/クラスルーム

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SoundCloud

 

____追記

iVyの歌詞は、日常の中で誰もが感じている痛みとか、孤独さとか、そんな行き場のない感情たちを比喩的に、かつ繊細で優しい言葉で語りかけてくれる。

そこに、なんだかずっと走り続けているような、まるで電車の中でひとり揺られているかのような感覚になるメロディーが重なる。

 

音楽業界のジャンルとか、グルーヴとか、わたしは詳しくないしよくわからないけど、わたしは彼女たちの音楽をなにかにカテゴライズなんてしたくない。

初めて聴いた時の、言葉にはできなくて、今すぐ飛び出して大切な誰かに会いに行きたくなるような、あの感覚が忘れられない

今はただずっと、追いかけていたい