走馬灯

わたしの人生のさいごにみる走馬灯

真っ白な日にいなくなった友達

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2月5日。東京で雪が積もった。

学校は長期休みに入っていてお昼過ぎまで寝こけていたわたしは、お母さんの「外が真っ白だよー」の声で飛び起きた。

 

わたしは雪が嫌いだ

 

あたり一面を覆う真っ白な世界は、ちゃんと手を繋いでいないと大切な誰かを連れていってしまいそうな気がする。

独りぼっちになったんじゃないかと怖くなる。

雪は、わたしを孤独にする

 

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次の日、目が覚めたら雪はもう、溶けていた

 

その頃東京を出て、少しの間だけ北海道に住み込みのバイトをしていた友達がいた

東京の雪は一夜限りで消えてしまったけど、北海道は冬の間はずっと真っ白なままで、あたり一面どころか、視界はほぼ真っ白だそう。

 

「雪しかみえないところでいなくなりたい」

そんなことをきみは言っていた

やっぱり雪は、大切な誰かを連れて行こうとしている

 

不意にまた怖くなって、その子が東京へ帰ってきた時は嬉しくてちょっとだけ、泣いた。

 

来年からその友達は東京を出るそうだ。

東京はなんでもあるけど、空っぽで、きみは自分の居場所を東京じゃないどこかに見つけたんだとおもう。

わたしは、まだどこにも居場所がないまま、この東京の街中を漂い続ける

そんなことなら、春になる前に、雪と一緒に消えていなくなりたかったな。

 

わたしの中で、きみはあの雪の日にいなくなってしまった

あの日からずっと、真っ白な世界にきみは隠れてしまったまま、見えなくなりそうだよ

春がきて、暖かくなって、来年までには

わたしもどこかに帰る場所を見つけていたい____

そう思う