走馬灯

わたしの人生のさいごにみる走馬灯

うみべのおんなのこ

 

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その日は風が強くて、気分は最悪だった

 

可愛いお洋服も前髪も、冷たい風に飛ばされてしまって、あまり気は進まなかったのだけれど

冬にみる海も悪くないかなと

思い切って葛西臨海公園まで向かった

 

楽しみにしていた観覧車は風が強すぎたからか乗れなかったし、天気も悪くて

 

ツいてないなー…とだいぶ、ショゲていた。

 

けれど海は、やっぱりきれいだった

体も冷えてしまって長くは居れず、帰るかと浜辺をふらふら歩いていたら

冬服のセーラー服をきたおんなのこたちが遠くの方で二人、座っていた

わたしは映画「blue」を彷彿とさせるようなその情景にひどく感動した

 

風になびく黒髪に笑い声

このままずっと時が止まればいいのにね。

 

「映画の中みたいだな」

 

思わず口に出していた

 

放課後にフッ軽で海にきたくなったのか

それとも部活をサボって抜け出してきたかな?

なににしろ、とにかく荷物は多かった。(笑)

きみたちのような存在に会えてよかったよ

思い切って来た甲斐があった

 

わたしも思い出の中にいるあの子と二人で学校を抜け出して、海に来てみたかったな

 

上手くいかなかった一日のささやかな幸せだった